Caratt's CIキャラットのCI

今回のCI(コーポレートアイデンティティ)制作にあたり、まず代表である佐野さんとの対話を進めていきました。代表取締役社長であり、創業者である佐野さんが、なにをしていきたいのか、今後どうありたいのかを整理することが、企業理念となり、それを可視化したものがロゴになっていくのです。

佐野さんとの対話で様々なことを話しましたが、どうしてこういうビジネスをやっているのですか、と聞いた時の答えがとても重要でした。
普通に考えると、写真ビジネスをされているので写真撮影が大切ですが、佐野さん自身はフォトグラファーではなく、写真を撮ること自体を目的としていない。では、どこに喜びを持ってやっているのか、というところを聞いていくと、出来上がった写真が「いいものかどうか」が判断軸ではない。それよりも「写真を撮りにきてくれて、楽しかったなって喜んでくださっている方々を見ているのが楽しい」ということを話されていたので、そういう「体験」「時間」を提供することが喜びであり、目的なのだと理解できたのです。写真を撮るというのは、そのひとつのきっかけなのです。
そういったことを引き出していくと、今後キャラットが、これを機に大きく成長するにあたり、なにかもっと、写真でも、ほかのことでも、領域が拡張できる可能性があるのではないかと感じました。僕はその未来への可能性を知りたかったのです。

事業領域を写真に限定するかしないか、どちらが良いか悪いかではなく、今後どうしていきたいのかが重要でした。写真で突き詰めたいですという答えでしたら、当然違うパーパスになっていったでしょう。
しかし、写真はもちろん大切ですが”写真だけが”大切というわけではない。このようなことを何度も対話することで、最終的にはパーパスにあるように、キャラットは、コミュニケーションを創造している会社であるということを明らかにしました。

パーパスにあるような、心はずむ体験を通してコミュニケーションを創造するのには、写真以外のことを通してでもできるのではないかと。そうすると、企業としても、成長性を感じますし、領域が拡大する可能性も大きいですね。
もちろん大前提として、写真業をとても大切に考えています。今回コーポレートスローガンとなった「あたらしい自分に会おう。」は写真を暗示する言葉でもあります。コーポレートスローガンは、パーパスやプロミスが社会に向けたメッセージであることに対し、よりユーザーに向けた言葉であるという側面があります。
写真を撮るという行為によって、なにか自分の一番いいところが引き出せたり、それによって自分の人生が変わる可能性だってありますよね。それだけ人生を左右するような重要な時間、体験になりえるのです。まさに写真撮影を通した体験を表す言葉です。

パーパスとは「志」と訳されることが多く、企業がどういった想いを持って成り立つかを意味しています。キャラットでは、キーワードで概念を整理するなかで、当初「楽しい」「ハッピー」という言葉から、一時期「エンターテイメント」を軸に考え方を進めていた時もありました。
しかしその後「コミュニケーション」のほうがより上位概念だったと気づき、軸を変更しました。人と人との繋がりが最も大切であると気づいたためです。
プロミスについては、今後の社内外への約束ですので、網羅的に、時代に合わせて考えていきました。スローガン、パーパス、ステートメント、プロミス、ロゴという全てのCIについて、耐久性のある内容にしたかったということ、またキャラットが本質的に大切にしていることや表現したいことが、社会で誤解されないように、表現を間違わないように留意し、何度も確認しながらかたちにしていきました。
ステートメントは、最後に作成しました。パーパスやコーポレートスローガンの意図を文章で紡いだ内容ですので、それぞれの言葉に整合性があり、それぞれの言葉をより深く説明しています。

ロゴについては、企業理念や概念ができてからでないとデザインしないのです。もしこういった概念が出来ないまま、名前からだけで表現しようとすると、うわべだけのものになってしまいます。
キャラットという名前はダイヤモンドの「カラット」からインスピレーションを得ていると思いますが、名前だけだとそれくらいしか立脚点がありません。インスピレーションが全く違うわけではありませんが、せっかくロゴを変えて、新しくするのなら、過去や現在だけでなく、未来を表現していくほうがいいですよね。

今回、キャラットはコミュニケーションというキーワードがコアであることが分かりました。これを踏まえて、例えばコーポレートロゴの中ではAが人を表し、TT は人と人が手をつないでいるような、人の繋がりを表しました。
また色も多色使いで、一色ではないところで、楽しさやダイバーシティを表しています。ロゴはこのように、概念がかたちとして可視化されたものです。

今後、社内外で愛されてたくさん使っていただけると嬉しいですね。Tシャツにして皆で着たりしてもいいかもしれません。そのくらい愛せないと、長く使えません。すでに社章が作られているのも、いいなと思いました。
ちなみに、対話するなかで、キャラットのイメージは、「いい人たち」だなと思いました(笑)。代表佐野さん自身もそうなのですが、「皆に幸せになってほしい」と願っている方々。
佐野さん、「幸せ」「楽しい」「皆」というワードばかり仰っているんですよ(笑)。すごく本気でそう思っていて、とても温かい感じだし、本当に皆が幸せになってほしいと、素直に思っているのが伝わってきました。
佐野さんとの対話を通して、キャラットは心温まる感じがする方が多い会社なのだろうなあと感じました。これからも、その素晴らしい社風を大切にしていってほしいと願っています。